コミック百合姫【2012/5】感想

コミック百合姫【2012/5】感想

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・表紙/なもり
「貴方の 中に、私は ちゃんと 居ますか?」
不穏。一気に不穏。表情の使い方が巧すぎる。この表紙はめくると、左側の子の横に絵が繋がってて一枚の絵になる仕組み。

 

森田季節インタビュー
貴重な知見が聞けるぞ。以下ちょっとだけ抜粋。
百合小説をご執筆されたきっかけは?
恋愛要素の入った小説を書く時に、女の子同士の関係性にしたほうが、書きたいことがストレートに表現できるぞということに、いつの頃からか気づきまして。
百合小説を書くときに気をつけていることは?
-自分の書きたいことを全部書くということですね
女性同士の関係性だからこそ、書ける感情とはどんなものですか?
-(中略)漠然と答えるなら「気高さ」ですね

 

犬神さんと猫山さん/くずしろ
猫山さんが犬神さんに急接近する回。かわいい。

 

・愛と仕事と金の話をしよう/大北紘子
大北先生特有のちょっと重い始まりをする百合。
「天涯孤独で無職です!」…彼氏からDVを受ける、割りと頭が軽い小松崎さんが、血だらけでマンションの管理人さんに救急車を呼んでもらう所から始まる。入院した小松崎さんの面倒をみる管理人さん。あくまで厳しく、入院代の借用書を用意してドライに話を進める管理人さんと脳天気な小松崎さん。しかし不安が残る彼女を放って置けず、病室に一泊するはめに。
他の百合漫画とは異色すぎるストーリーだけど、このあと2人が小松崎さんが受けるDVと恋愛観について話すシーンがエモい。小松崎さんの境遇への鋭い指摘は必見。漫画的な脳天気さが百合作品特有の重い女性観と相まってる。

 

・いじめっこ/すこやか
「このクロワッサンサンドをすこし恵んでやろう」暴君王子様系の先輩と、かまってもらえるだけで嬉しい片思い中の後輩。先輩もウブですねこれは。しかし「キスさせるなら許してやろう」から胸も揉みに行く姿勢はすき。

 

・ふ〜ふ/源久也
この漫画はやっぱり多幸感がある。方言もクソかわいい。おとなりのゆりっぷる、はやせと小麦がイチャイチャする回。前回の嘉菜々さんの事件を経て不安を感じる小麦と、「それぞれの『普通』なんかそれぞれの数だけ違うんやから…本人ら以外はええか悪いか決めたらあかんで?」と答えるはやせ。嘉菜々さんと白雪さん、普通に新さんと一緒に居ますが…


ゆるゆり/なもり
きぐるみパジャマ回二年生組+一年生組。ただただかわいい。あと娯楽部が無言で連鎖的な勘違いをするエピソード。

 

・ウタカイ/森田季節
百合姫の…というよりこれまで読んできた小説の中で最高傑作の一つ。無茶苦茶面白いしそもそも文章が読んでて素敵…って感じ。作品の概要を言うと「文学系空間操作バトル部活百合」。「歌会」という、短歌の言霊によってフィールド【歌垣】を形成して戦う競技。その名門校「歌聖高校」を舞台に、その高校生トップを主人公に描かれる純愛バトル百合小説。中学時代に全国大会で優勝した主人公【熱唱の火人】登尾伊勢が、決勝で戦った【幽玄の歌使い】朝良木鏡花先輩と交際をはじめ、飛び級入学して歌会を競い合う。
百合小説としてのポテンシャルの高さももとより、劇中の短歌のレベルの高さ、バトル物としての熱さ、面白さがすごすぎる。
第一話はいきなりバトルから始まり、2人の関係、そしてその2人の校内大会決勝。

 

・水深/井村瑛
いじめや浮いてる子を題材に扱った百合って結構あるけど、ここまで障害っぽく描いた作品ってあんまりないよね…
読んでる時の不安感と、最後の登場人物の爽やかさが対比的。

 

・私の世界を構成する塵のような何か/天野しゅにんた
あああああエモい……さっちゃんの表情……。道に迷ってはぐれてしまった祥と留希。探しに行く他のメンバー。ギクシャクしてしまう笙子と明日菜。自分の思いに気づいてしまう留希。さっちゃんの電話に彼氏から着信が来た瞬間奪い取ってしまう留希。そしてその瞬間留姫の思い切りほおを叩く祥…。自分でも何故そうしてしまったのかわからない2人。色々なことがあった合宿も終わり、そしてさっちゃんの彼氏があまりにも不穏すぎる登場をして終わる…

 

・百合男子/倉田嘘
「違った!!宮鳥はガチじゃない!!」…同級生に百合妄想を重ねまくる啓介(百合男子)のこの言いよう…しかし新たな確信を得た啓介は力強く(駅前で)師匠に即興SSを披露するのだった…